今回はローポリのキャラ向けに、Rigifyの顔ボーンを減らしていこうと思います。
どういう事かと言いますと
これを → こうする
視線、まばたき、耳パタパタ、口開け ができる
最低限のボーンを厳選して、極力シンプルにしようという作戦です。
だってデフォルトの顔だとボーンが多すぎるんだもん。
ボーンを減らすと可動部分が減りますが
・ウェイト調整が簡単になる
・mayaにリグを移植するのが楽
・unityなどゲームエンジンも軽くなる
などといったメリットがあります。ローポリのゲームには良いです。
完成後の表情はこんな感じ↓
可動部分が少なくてもけっこう良い表情をしてくれます。
デフォルトで複雑な表情がつけられるのはrigifyの良いところですが
要らんものはどんどん消してコスト削減しましょう。
顔のメタリグを作る
まず顔以外のメタリグが完成したblenderデータを用意します。
既にリギング済みでシーンにメタリグが残ってる場合はそれを使ってOK。
これからメタリグを作る場合や、メタリグとは何ぞやという人は
別の記事でこの猫にメタリグを作る過程を書いたので、そちらを参考に作ってください。
今回は blenderの自動リギングツール、rigifyで4足動物のリグを作った過程を紹介します。blenderは4.0.2を使用。フリーモデルをリギングして色塗ってます。 完成はこんな感じ。 この記事は「動物のモデルにリグを[…]
メタリグの顔ボーンを消す
まずは要らん骨を削除。
ゴチャゴチャした顔のボーンをメタリグから消します。
編集モードで heardより下の階層ボーンを選択 > deleteキー > ボーン で消えます。
これで顔が更地になったので新しい顔骨を作ります。
新しい顔ボーンを追加
目、まぶた、耳、顎、舌にシンプルなボーンを追加します。
まずFaceレイヤーを選択状態にしておく。
こうしておけば、今から追加されるボーンが自動的にfaceレイヤーに入ります。
顎のボーンを作る
上メニューの 追加 > 単一ボーン をクリック。
ボーンが追加されます。
このでかいボーンを顎の位置まで移動させます。
ボーンの頭と尻尾のX軸座標をゼロにしておくとピッタリ中心にくる。
ボーンがねじれてたらロールを0にしておきます。
舌のボーンを作る
舌は骨3本のチェインにします。
顎と同じように 追加 > 単一ボーン > 移動 で作ってもいいですが、顎ボーンをコピーした方が早いのでそっちの方法を書きます。
顎ボーンを選択して > Ctrl+Dでコピー > 移動で顎の上に持ってきて > enterキー で確定
ボーンの根元を舌の根元、先っぽを舌先に位置合わせします。
モデルを半透明にすると口の中が見えて位置合わせしやすい。
ボーンの分割を3つにします。
顎ボーンを選択した状態で右クリック > 細分化 > 画面左下に出てきたウィンドウ > 分割数:2
目のボーンを追加
眼球とまぶたのボーンを作ります。これも顎ボーンをコピーした方が早い。
顎のボーンをCtrl+D と移動で目の位置にコピー。
このボーンが左眼球になります。ボーンの根元が眼球の中心、先っぽが正面を向くように細かく位置合わせします。ロールも0でいいです。
左目だけ作ればOK。右目は後で反転コピーします。
まぶたも同じ手順で、左側だけボーンを入れます。
猫っぽくツリ目にしたかったので、下まぶたにもボーンを入れてます。
ふつうに瞬きするだけなら上まぶただけでもいいです。
耳のボーンを作る
耳は柔らかく動かしたいんで骨2本のチェインにします。
作り方は舌と同じ。
他のボーンをCtrl+Dでコピー > 耳の位置に移動 > 右クリック > 細分化
耳も左側だけ作ればOK。
視線のボーンを作る
視線を制御するためのボーンを入れます。
眼球のボーンをCtrll+Dでコピーして、左目の正面に持っていきます。
これが左目の視線になります。
両目の視線ボーンも作ります。
その骨をさらにコピーして、真ん中(X軸0)に配置。
長さは左目用より長くしておく方が個人的に使いやすいです。
これで顔にボーンを入れる作業は終わり。
リグの生成設定をする
以上で必要な骨が全部そろいましたが、
このままだとただのボーンでリグにはならないので、リグの設定を入れます。
リグタイプを設定
ポーズモードでボーンを選んで、プロパティのここ👇️ で設定。
この項目を顔のボーンそれぞれに設定します。
今回はこんな感じに設定しました。
ボーン | Rigify Type | Controls | ウィジェット | 変形 |
---|---|---|---|---|
顎 | basic.super_copy | ☑ | ☑ cube | ☑ |
眼球 | basic.super_copy | なし | なし | ☑ |
舌(付け根) | basic.copy_chain | ☑ | なし | ☑ |
耳(付け根) | basic.copy_chain | ☑ | なし | ☑ |
上まぶた | skin.basic_chain | なし | なし | なし |
下まぶた | skin.basic_chain | なし | なし | なし |
左目視線 | basic.super_copy | ☑ | ☑ circle | ☑ |
両目視線 | basic.super_copy | ☑ | ☑ cube | ☑ |
「☑」がついてる項目はチェックをいれてください。「なし」の項目はチェックを入れなくていいです。舌と耳は付け根のボーンだけ設定すればOK。
・Rig typeがリグの種類
・ウィジェットがコントローラーの形
を指定してます。この表以外の項目はデフォルトのまま触らなくてヨシ。
ボーンに名前をつける
追加したボーンに名前をつけておきます。
編集モードでボーンを選んで、名前を変えます。
今回はこんな名前にリネーム。
舌…tongue.01 tongue.02 tongue.03
耳…ear.01.L ear.02.L
目…eye.L
上まぶた…eyelid.01L
下まぶた…eyelid.02.L
左目視線…eyeCtrl.L
両目視線…LookAt
自分が分かりやすい名前ならなんでもいいですが
目など左側だけ作ったものは「.L」をつけた名前にした方がいいです。
あとでblender君が「ああ、これは左側なのね」と認識して、「.R」の名前で右側を自動で作ってくれます。
親子階層を設定
試しにポーズモードで動かすとわかるんですが
頭を動かしても顔がついてこない状態になっちゃってます。舌も顎についてきません。
これを正しい挙動になるよう、親子階層を設定していきます。
編集モードで
①顎、目、上まぶた、下まぶた、耳の付け根、両目視線 を選んでから
②頭を選択して
③Ctrl+Pでペアレント作成 >オフセットを保持 を選択
※最後に選んだものが親になります。選ぶ順番が大事。
舌も親子設定いれます。
①舌の付け根
②顎
の順番で選択して、Ctrl+P > オフセットを保持
左目視線も親子指定します。両面視線を親にします。
①左目コントローラー
②両面コントローラー
の順番で選択して、Ctrl+P > オフセットを保持
ポーズモードでこんな感じに動けば成功。
左側のボーンをコピーして右側を作る
顔の左側ができたので、反転コピーして右側を作ります。
①編集モードで耳、目、まぶた、左目視線を 選択して
②右クリックして「細分化」 を選択
すると「○○.L」という名前で反転コピーしてくれます。
左側で設定した親子階層やリグ属性もコピーされてます。
これでメタリグは完成!
このメタリグから新しい顔リグを生成していきます。
メタリグからリグ作成
上のメニューのRigify→Generate Rigをクリック。(既に前のリグがある場合はRe-Generate Rigになってます)
リグが生成されます。(前のリグがある場合は上書きされる)
faceレイヤーに新しい顔リグが入ってます。
メタリグはもう使わないので非表示にしてOK。
モデルをリグで動かせるようにする
そうしたらこのリグをモデルに関連づけて動くようにします
オブジェクトモードで モデル→リグ の順番で選択 > Ctrl+P > 自動のウェイトで をクリック。
ポーズモードで顔のコントローラーを動かしてみると、変形のしかたはだいぶ怪しいですが動くようになります。
ただ、まだ視線が動きません。目をキョロキョロできるように仕組みを入れていきます。
視線を動かせるようにする
まず、顔リグとDEFボーンを表示します。最前面に表示した方がやりやすいです。
DEFボーンというのはウェイトが振られてる骨です。視線のコントローラーに眼球のDEFボーンが向くようにします。
ポーズモードで左目のDEFボーン「eye.L.DEF」を選んで、
プロパティ > ボーンコンストレイントを追加 > 減衰トラック を選択
この減衰トラックに、視線のコントローラーに追従するよう設定。
ターゲット:rig
ボーン:eyeCtrl.L(左目の視線コントローラー)
右目も同様に減衰コンストを入れます。右目は
ターゲット:rig
ボーン:eyeCtrl.R(右目の視線コントローラー)
これでポーズモードで視線のコントローラーを動かしてみると、目がキョロキョロできるようになる。
目がフニャフニャ変な形で動いてたら、後でウェイト調整で直します。この時点では眼球DEFボーンが動くようになってればOK。
これでとりあえず動くリグができましたが
非常に操作しにくかったり、モデルの変形がおかしかったりするので、
そのへんを直していきます。
コントローラーを大きくして触りやすくする
顔コントローラーが全体的に小さい…モデルに埋まってて非常に使いにくいので大きくします。ついでに色も変えてしまおう。
ポーズモードでコントローラーを選んで > ボーンプロパティ > ビューポート表示
の項目でコントローラーの見た目を変更できる。
今回は顎・舌・耳をスケールで大きくして位置調整しました。
数値は自分の使いやすい見た目でOK。
ウェイト調整でモデルの変形をなおす
耳を動かすと目が凹んだり、口を開けると鼻が伸びたり…
モデルの変形がおかしいのを直すには、ウェイト調整が必要。
顔ボーンに対するモデルの影響範囲を設定してあげます。
ウェイト調整の詳しいやり方は、以前この猫を作ったときの記事に書いてあるので、そちらをご覧ください。
関連記事 動物のリグの作り方 / ウェイトペイント
完成
ウェイトがおかしい所を直したら完成です。
全部入り欲張りセットみたいな顔からスッキリした顔に生まれ変わりました。