今回は blenderの自動リギングツール、rigifyで4足動物のリグを作った過程を紹介します。
blenderは4.0.2を使用。フリーモデルをリギングして色塗ってます。
この記事は「動物のモデルにリグをつけたい」「最低限うごかせる無料のリグが欲しい」という初心者が簡単なリグを自作するための記事です。
前回の記事ではメタリグが入ったモデルから作りましたが 今度はメタリグを作る所からやります。
もくじ
フリーモデルをダウンロードする
こちらのフリーモデルを使いました。3Dモデルダウンロードサイト、TurboSquidから入手できます。
https://www.turbosquid.com/ja/3d-models/3d-base-mash-cat-2080612
※モデルの利用規約はリンク先のライセンスに従ってください
ダウンロードしたBlenderシーン「Gat_Base_mesh.blend」を開きます。
モデルの位置を修正
なぜか、かかとが原点にある‥‥このままリギングするとモデルが地面にめり込んだ状態になるので正しい位置に直します。
オブジェクトモードでモデルを選択して、お腹の下が原点になるように移動させる。
移動したことでモデルのトランスフォームに数値が入りますが
これが残ってるとリギングした際に不具合が出ることがあるのでリセットしておきます。
モデルを選んだ状態で
オブジェクト > 適用 > 位置 を選択。
位置が0にリセットされた。
これでモデルが準備できたのでリグを入れていきます。
Rigifyでリギングする方法
シーンにメタリグを追加する
追加 > アーマチュア > Animals > Cat を選択。シーンに猫のメタリグが追加されます。
ボーンの集合体みたいなのがメタリグです。
こいつをモデルの形に合わせていきます。作業しやすいように
・メタリグを最前面に表示して
・モデルも色を変える のがおすすめ。
メタリグを最前面に表示
ビューポート表示の最前面にチェックを入れるとボーンがモデルより手前に表示される。
モデルの色を変える
テクスチャを貼らなくてもビュー表示で色をつけられます。
シェーディングのオプションを開いて、カラーを「ランダム」にすると自動的にイイ感じの色をつけてくれます。「シングル」にすると好きな色にできます。
メタリグの形をモデルに合わせる
ビューが見やすくなったので作業に入りましょう。とりあえずメタリグを猫と同じくらいの大きさにします。
オブジェクトモードでメタリグを2倍くらいにスケール上げる。
そうしたら編集モードでボーンの細かい位置を調整。
ボーンの関節を掴んでキャラクターの骨格に合わせていきます。
このときシーンの「X軸ミラー」を有効にしておくことで、左右対称のボーンが自動で変形するようになります。
とくに理由がない限りX軸ミラーは有効にといた方がいいです。
この調子で全部のボーンを位置調整したらこんな感じに。
頭ボーンの先っぽはもう少し引っ込めてよかったけどまあいいや。
メタリグのトランスフォームをリセットする
ボーンの位置調整が終わったら、モデル同様トランスフォームをリセットしておきます。(リセットしないとリグ生成したとき変な形になる)
オブジェクトモードでメタリグを選んで、
オブジェクト > メタリグ > 全トランスフォーム で移動やスケールなど全ての数値がリセットされます。
これでメタリグは完成!
次はこのメタリグからリグを生成します。
メタリグからリグを生成する
Rigify > Re-Generate Rig をクリックするとリグが自動生成されます。
リグはシーンコレクションのrigにあります。メタリグはもう使わないので非表示にしてOK。
胴体のボーンがぶった切れてるとこのエラーが出る。
・RIGIFY ERROR: Bone ‘spine.004’: Cannot connect chain – bone position is disjoint.Incorrect armature for type ‘chain_rigs’
・RIGIFY ERROR: Bone ‘tail.001’: Cannot connect chain – bone position is disjoint.Incorrect armature for type ‘chain_rigs’
メタリグの
胸~首(spine.003~spine004)
腰~尻尾(spine~tail.001)
のつなぎ目がピッタリ同じ位置にくるよう修正してからGenerateRigしてください。
頂点スナップをONにしながら移動すると自動でくっつけてくれます。
モデルとリグを関連づけて動くようにする
このままだとリグを動かしてもモデルがついてこないので、ちゃんとついてくるよう関連づけます。
オブジェクトモードで
1. モデル→リグの順番で選択 ※順番が逆だとできません
2. Ctrl + P で「ペアレント対象」ウィンドウ開く
3.「自動のウェイトで」を選択
ウェイトというのは、モデルの頂点とボーンの連動度合いのこと。
ウェイトが割り当てられたおかげでモデルが動くようになります。ポーズモードで動かしてみるとこんな感じ。
概ねちゃんと動きますが所々変形が怪しい…(とくに口まわり)
自動で振られたウェイトでは細部が思うように変形してくれないので手動での調整が必要。次のウェイトペイントという行程で直していきます。
ウェイトペイントでモデルのウェイトを直す
目、耳、肘、指先…などなどウェイト調整したい箇所はいっぱいあるんですが今回は口だけ直します。
口が開くだけでも表情が出せるし、シルエットにも変化が生まれるのでアニメーションに対するコスパがいいです。
ウェイトペイントモードに切り替える
DEF-〇〇という名前のボーンにウェイトが関連づけられてるので表示しておきます。
ボーンコレクションの「DEFレイヤー」を表示。ビューポート表示は最前面に☑いれておくのがおすすめ。
モデルのワイヤーフレームも表示しておく。
リグ→モデルの順番で選択してウェイトペイントモードに切り替えます。(順番が逆だと切り替えられない)
この青いモデルにウェイトを塗っていくんですが、このままだとウェイトが割り当てられてる所も無いところも似たような青色で見ずらいので、割り当てられてない部分は黒くなるようにします。
ウェイトペイントオーバーレイ > ウェイト0 の項目をアクティブ にする
この状態で移動ツールでDef-〇〇ボーンを選択すると、ウェイトの高さが色で表示されます。
ウェイトが低いほど青、高いほど赤、割り当てられてない所は黒
そのボーンが動いたとき赤い所ほどいっぱい動く。
※ショッキングピンクになったら多分DEFじゃないボーンを選んでる。
これで顔のウェイトをチェックしながらペイントしていきます。
ボーンを動かしてウェイトを確認
ボーンを動かしながらウェイトを見れます。
回転ツールで顎のコントローラーを動かすと口が開く。
そのまま「DEF-lip.L.T」のボーンを選択すると上唇のウェイトが確認できる。
メッシュが伸びてる部分が高ウェイト(=赤)になるよう塗っていきます。
上唇にウェイトを塗る
この状態のまま、ドローツール(ブラシのアイコン)でモデルの頂点を「ウェイト1」で直接塗ります。ウェイトは最高が1です。
自分がやりやすい方法で塗ればいいけど、アビハルはこの設定で塗ってます👇
最初に透明度とボケ足のないシャープなブラシで大まかに塗って、後で境目をぼかしツールで滑らかにしてます。
ウェイト1で伸びてるメッシュをぬりぬり。伸びが解消されていきます。
塗ってる中はアーマチュアを非表示してます。
上の歯もメッシュが伸びているので同様にウェイトを塗っていきます。
イイ感じにウェイトが塗れるとキレイに口が開くようになる。
ひとまず動くリグが完成!リッチに見せる工夫。
ウェイトペイントが終わったら、リグとしては一旦完成!
テクスチャはないけど、少しでもリッチな絵にておきましょう。ビューの設定で影を入れるだけでも、メリハリがついて絵が引き締まります。
アニメーションの就職活動とかで使うならこれで充分ですね。
でもアビハルは就活生ではありませんし、やはりテクスチャが無いのは寂しいので色を塗りました。
色塗りの過程も書いていくのでご興味ある方はもう少しお付き合いください。
猫のモデルに色を塗る
色を塗って模様を描くには
- テクスチャを貼る
- UV展開する
- テクスチャペイントで色を塗る
という工程が必要ですが、今回のモデルは「②UV展開」が済ませてあるので①と③だけで塗れます
①テクスチャを貼る
色を塗るためのテクスチャを設定します。絵を描くための紙を用意するようなもんですね。
シェーディングのワークスペースに移って
シェーディングエディタの何もない所で右クリック > 追加 > テクスチャ > 画像テクスチャ を選択。
画像テクスチャのノードが出る。「新規」をクリック。
テクスチャの名前を設定します。他はデフォルトのままでもOK。黒テクスチャが生成されます。
テクスチャノードを猫のマテリアルのベースカラーに繋ぐ。黒猫になります。
テクスチャはフェイクユーザー(盾マークのやつ)にチェックを入れておくと、うっかり消える事がないので安心。
※blenderは未使用のデータを自動的に消してくれるんですが、これのせいで消したくないデータが勝手に消される事故が発生する。ありがた迷惑!盾マークにチェックを入れると未使用でも消さなくなる。
これで猫にテクスチャが貼られましたが、このままじゃ黒一色なので模様を描いていきます。
②UV展開(このモデルは適用済みなのでサラッと流します)
模様を描くにはUV展開が必要なんですが、今回のモデルは既に完了してるのでここでは解説しません。説明したらめっちゃ長いし
展開済みのUVを画像出力する方法だけ書いておきます、模様描くのに使うので。
UVマップを画像データで書き出す
UV編集のワークモードを開いて、右側のビューで、モデルの辺か面を全選択(Aキー)。すると左側のビューにUVが全部表示されます。
そうしたら
UV編集エディター > 上のメニューのUV > UV配置をエクスポート を選択。
画像を保存する画面になるので名前をつけて保存します。このとき右側のオプションで
・フォーマット:PNG
・ファイルの不透明度:0
にしておくとUVの線画だけになった透過画像になります。
Photoshopなど画像ソフトでテクスチャを描くときガイドに使います。
③テクスチャペイントで色を塗る
UVを表示した状態で、テクスチャペイントのワークスペースを開きます。モデルと画像、どちらでも描きやすい方にブラシで色を塗っていきます。
テクスチャ画像の保存を忘れずに
上メニューの 画像 > 名前をつけて保存 で現在のテクスチャを画像ファイルで保存できます。
photoshopなど画像ソフトでテクスチャを作る際は保存必須です。②で出力したUVの線画と組み合わせてテクスチャを描きます。
そうじゃなくてもバックアップのため画像で保存はしておいた方がいいです。
色塗り完了
塗り終わったらこんな感じ。
雑にマウスで塗ったわりに中々いいのでは?
やっぱり色がつくだけでクオリティーはグッと上がるね。
もっと丁寧に塗る人は画像ソフトとペンタブで塗りましょう。
完成!
これで全て完成!
ふつうのリグ同様、リグにキーを打ってアニメーションができます。
ざっくり説明でしたが最後まで見ていただいてありがとうございました。