blenderで動物のアニメーションを作りたい、練習したい。
できればフリーのリグを使いたい。
しかしmayaで動物のフリーリグはそこそこ見かけるんだけど
blenderでイイ感じの物がなかなか見つからず…
どーしたもんかと調べていたら、BlenderにはRigfyという簡単にリギングできる機能があるらしい。これでフリーモデルをリギングすればいいのでは?
という事で実際に使ってみた。
完成したリグはこんな感じ!
この記事ではその制作過程を紹介。Blenderのバージョンは3.6.1を使用。
フリーモデルをダウンロード
モデルは3D素材の販売サイト「TurboSquid」からダウンロードします。
※モデルの利用規約はリンク先のライセンスに従ってください
ジョイントつきのモデル。足元の背景モデルとHDRIまで入ってる、無料とは思えない完成度!しかもかわいい(重要)
キツネくんをBlenderに読み込む
まずBlenderでrigifyを使えるように設定しておく。
BlenderのRigifyアドオンを有効にする
編集>プリファレンス でBlenderプリファレンスを開く。
アドオン項目をクリックすると、インストールされてるアドオンの一覧が表示されます。
この中からRigifyを探します。
①左側のアドオンをクリックして
②カテゴリーを「リギング」選択
③「リギング:Rigify」に☑を入れる
そうしたらセーブ&ロード項目の「Pythonスクリプトの自動実行」にチェックを入れる。
これでRigifyが使えるようになった。
次はさっきダウンロードしたフリーモデルをBlenderで開いて作業していきます。
ダウンロードした「zorro.blend」をblenderで開くとこんな感じ。
タイムラインを再生すると
キツネくんが辺りをキョロキョロ見回して、罠に捕らわれうずくまるモーションが再生される。
このモーションを動かしているジョイントはアウトライナーの
character > rig 階層に入っていて、
目のマークを押すとビュー上で見れるようになる。
このジョイントを動かしてキーを打っていけば自分のアニメーションが作れる訳だけど、このままだとちょっと使いづらい。
シンプルなアニメーションならこのまま使ってもいいかも知れないけど
走ったりジャンプしたり、アクティブな動きを作るにはちょっとキツイ。
なので、これにRigifyを適用して使いやすいリグをつけてあげます。
Rigifyでリギング
さきほど表示したcharacter > rig階層は、最初は使わないので非表示に戻しておくと作業しやすい。
メタリグを編集する
メタリグはキャラクターのベースになる骨格。Rigifyの下書きのような物と思ってOK。
アウトライナーのcharacter > metarig 階層の目のマークをONにすると、メタリグのジョイントが確認できる。
フリーモデルによってはこのメタリグが入ってない物も多くて、その場合は自分でメタリグを作る所から始めないといけないんだけど
今回使うキツネくんは既に設定済みなので、これを使わせていただきましょう。
メタリグからリグを自動生成する
メタリグを選択した状態でrigify > Re-Generate Rigボタンを押すとリグが一発生成される。
メタリグとblenderのバージョンが合ってない可能性があります。
プロパティエディタでメタリグを更新してからRe-Generate Rigをクリックしましょう。
こんな感じのリグが生成されます。
ポーズモードでコントローラーを動かせばポーズをグリグリ動かせます。
メタリグはもう使わないので非表示にしてOK。
これでリギングの9割はできたも同然です。しかし口を開けようとすると…
ギャー!顔が!
上顎が伸びちゃいます。目や耳の変形もちょっと怪しい。
これを直すにはウェイト調整という工程が必要。
体のアニメーションだけ作るならこれで完成でもいいけれど、表情も動かしたいならしっかりウェイトを調整してあげよう。
ウェイト調整
ウェイトとは簡単に言うと変形の影響度のこと。
ウェイトが大きいほど、ボーンに追従するように変形する。これを調整して自然な表情になるようにしていく。
ウェイトが割り当てられているボーンを表示しておく
rigifyでは「DEF-〇〇〇」という名前のボーンにウェイトが割り当てられているのでこいつを画面に表示しておく。
顔のrigコントローラーとDEF-〇〇〇のレイヤーを表示します。
「最前面」にチェックを入れるとモデルに埋まってるボーンも見えるようにしておくとやりやすい。
ウェイトペイントモードに切り替える
①オブジェクトモードでボーン→体のモデル の順番で選択して、
②ウェイトペイントモードに切り替える。(順番が逆だと切り替えられません)
するとこんな感じの青いキツネになる。
この青いモデルにウェイトを塗っていく訳ですが、その前に効率よく作業できる設定をしていきます。
頂点と色を見やすくする
ウェイトペイントは頂点を塗るので、頂点の場所がわかる表示にした方が作業しやすい。
また、デフォルトだとウェイトが「無い」所も「少しある」所も似たような青色で表示されてしまうため非常にわかりにくい。ウェイトが無い部分を黒くする設定にして見分けやすくしておく。
- ワイヤーに☑入れる
- ウェイト0の表示を「アクティブ」にする。
これでウェイトが無い部分は黒、ウェイトが低い部分は青で区別される。
移動ツールや回転ツールでDEF-〇〇ボーンを選択すると、そのボーンに割り当てられてるウェイトが色で確認できます。
口を開けたポーズにしておく
今回は口のウェイトを直したいので、口を開けたポーズにします。
回転ツールで顎のコントローラーを掴んで回すと口が開く。
ウェイトの自動正規化
ウェイトの原則ルールとして
・ウェイトは合計値が1になるように塗る
・左右対象のモデルならウェイトも左右対称
というのがある。これを自動でやってくれる設定にする。
- プロパティエディタ >ツール > 対称 > 「頂点グループをミラー反転」に☑を入れて「X」を選択
- プロパティエディタ >ツール > オプション > 「自動正規化」 に☑を入れる
そうしたらいよいよウェイトを塗っていきます。
ウェイトの塗り方
上唇のボーン(DEF-lip.T.L)を選択するとこんな感じ。
メッシュが伸びてる部分のウェイトが高く(赤く)、他は低く(青く)なるようにウェイトを塗っていきます。
おすすめのブラシ設定↓
・ブレンド:ミックス
・ウェイト:常に1か0
・強さ:1
・減衰:一定
ボケ足のないシャープなブラシです。
最初にウェイト最高の1か、最低の0でクッキリ塗分けて、後で境目をぼかします。
メッシュが伸びてる部分の頂点をウェイト1でぬりぬり。ちょっとずつ口がマトモな形になっていく。
ボーンが邪魔なときはアーマチュアのビュー表示をoffすると良いです。
下顎に頂点がぶっ刺さってる所はメッシュの裏側から塗るようにするとやりやすいです。
前もって「頂点グループをミラー反転」にチェックを入れておいたおかげで
モデルの左側だけウェイトを塗れば、右側は自動で塗ってくれます。
この調子で顎や下唇など、他のウェイトも同様に塗り進めていく。
口の周りのボーンに一通り塗り終わるとすると、キレイに口が開くようになります。
より高いクオリティを目指すなら、耳や指先など変形が気になる所もウェイトを調整する。
耳や指のジョイントと同じ名前の頂点グループを選んで、ウェイトをぬりぬり。
目も塗れるけど眼球は体と別モデルなので、
オブジェクトモードでボーン→目のモデル の順番で選択してからウェイトペイントモードに切り替える。
この調子で地道に塗り進めていく。
完成!
変形が怪しい所を一通りウェイトペイント終えたら完成!
動かし方は人間のRigifyリグと同じ。ポーズをつけてタイムライン上にキーを打っていく事でアニメーションさせることができる。
胴体の動きにやや癖があるのは気になるけれど無料でこれなら許容範囲と個人的には思う。
なにより動物のモデルでもリギングできるのは嬉しい。
今回はメタリグ入りのフリーモデルを使用したけど、メタリグを自分で設定すればジョイント無しのモデルでも同様にリギングできます。
メタリグから作った過程も別記事にあるので、よければそちらも見ていってください。
今回は blenderの自動リギングツール、rigifyで4足動物のリグを作った過程を紹介します。blenderは4.0.2を使用。フリーモデルをリギングして色塗ってます。 完成はこんな感じ。 この記事は「動物のモデルにリグを[…]