動物アニメーションに使っている本5冊を紹介【初心者にもおすすめ】

こんにちは、アニメーターのアビハルです。
本屋で動物のアニメーション本を見かけたらとりあえず買う人です。

だってアニメの参考書って、人間のキャラクター向けにしか書いてないのが多いですから、動物について語ってる本は貴重なんですよ。

この記事では 自分が買った本の中から、とくに役に立った本
初心者向けの順に紹介していきます。

手塚プロが教える 動物アニメーションの描き方

タイトル通り、動物のアニメーションが描けるようになる本。

内容はかなり初心者向けですが、資料として優秀なので上級者も持ってて損はないです。
アビハルは今でもときどき使ってます。

リアルな動物の動き

表紙が手塚治虫キャラなので、一見マンガ的なキャラクターの本に見えますが
中身はリアルな4足動物の動きです。

絵柄もキャラクターっぽさはなく、「リアルな動物をシンプルな線で描いた」という感じ。
書き込みは控えめで、クセが無い絵柄なので自分の絵に合わせやすい。

文章より絵が多い

完全に「絵を見て学ぶ」スタイルの本。
教科書というより作画資料に近い。

文字よりも絵が多く、文章は最っ低限の説明しか出てきません。
それもアニメーションの技法の話はあまりなく、動物の動きの解説の方が多いです。

技法を知りたい人には物足りないだろうけど、
初心者は難しい専門知識を考えるより、まずは絵を模写して実際に手を動かした方がいいので
こういう本の方がモチベーションが続きやすいかと思います。

初めてアニメーションを作る人にもおすすめ。

DVDがついている

本書の線画が動くところを収録したDVDがついています。
実際に動画で見れるのはおもしろいですね。
3Dアニメーションでも動画を画面横に並べて模写することができます。

注意としては、全部の線画が載ってるわけじゃない、です。
数えてませんが体感7割くらいが収録されてますかね?
欲を言えば犬・猫・馬は全部収録してほしかった

でも全てではないにしろ、かなりの数を動画で見せてくれるのは他の本にない特徴ですし、
DVD抜きにしても参考資料として充分すぎるほど役に立ってます。

とにかく動物の種類が多い

人間+動物131種類の生き物 それぞれ歩き・走りなど移動系アニメーションが載ってます。

哺乳類だけじゃなく鳥、爬虫類、魚、昆虫まで幅広くカバーしています。
モブとして使いやすい生物が揃ってるので使い勝手はいいです。

持っていると作画資料をパッとすぐ見たいとき便利。
初心者から上級者まで、アニメーションを作るならおすすめの書籍。

手塚プロが教える 動物アニメーションの描きかた

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※2024年12月現在、この本は中古しか扱いがないらしく価格が変動しやすいのでご注意ください。
再販してくれないかな手塚プロダクションさん…

アニメーション・イラスト入門

キャラクターアニメーションを基礎から学べる本。
タイトルと表紙からイラストの描き方本っぽく見えますけど、中身はアニメーションの描き方本。

動物専門の本ではありませんが、人物より動物の方が多いです。
動物は2足歩行のキャラクター系と、4足歩行のリアル動物と、両方あります。

アニメーションの基礎が学べる

この本は絵の描き方だけでなく、アニメーションの技法も学ぶことができます。
作画資料としてだけでなく、教科書としても使える内容。
予備動作や重さの表現など、キャラクターアニメーションの基礎が学べます。

4足動物では犬、猫、馬の歩き・走りが載っています。

絵を使った説明が中心で、文章は短く簡潔にまとめられているため、初心者向け。
キャラクターをかわいく動かす方法をひたすら絵で解説している感じ。

あまり難しい事は書いていないので
アニメーションの勉強をこれから始めたいと考えている方にもおすすめ。

動きを感じる絵を描く方法

表紙の絵の通り、ディズニー風の絵です。
絵が生きているというか、静止画でも動いて見える絵なんですよ。

動画じゃないのに躍動感のある絵、アニメーションではめっちゃ重要です。
そういう絵の描き方がこの本ではたくさん紹介されています。

他のイラストの描き方の本だと、「まず箱を描いて立体感を掴もう」みたいな方法で説明してる事がありますが、この本では「丸や曲線を使って大まかな形を捉え、アクションラインを意識したポーズを取る」描き方が解説されています。

いきなり立体ではなく丸と線から書き始める分、初心者でも書きやすいのではないかと個人的には思います。

動きの伝わる絵をラフで描けるようになると、人にイメージを伝えるときにも役立ちます。
ディズニー風の絵に抵抗がない方には、ぜひ参考にどうぞ。

アニメーション・イラスト入門

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Animals In Motion

動物の歩く・走る動きを連続写真に収めた写真集。
アニメーションの線画になる絵がそのまま写真になってます。
横だけでなく後ろや前から見た写真も載っている。

白黒写真ですが問題なし

写真がすべて白黒ですが、動物のポーズがハッキリとわかる写真です。
動きの資料として見る分には問題ないです。

また、資料として使いやすいように、撮影にはさまざまな工夫やこだわりが感じられます。

例えば背景が方眼紙のようなグリッド状になってます。
腰の高さの変化とか、体の微妙な動きが分かりやすくて、資料として非常に気が利く。

あと黒っぽい動物は白の背景白っぽい動物は黒の背景で撮ってるのもナイス。
シルエットが際立つように撮影されています。(アニメーションはシルエットが超大事)

ただ動物を撮っただけみたいな中途半端な写真集を買うくらいなら、白黒でもこっちの方が良いです。

洋書ですがこの単語を把握すればOK

ほとんどが写真ページですが、文章のページも少しあります。歩き方の種類を説明しています。
英語で翻訳もされていませんが、写真集なので英語が読めなくてもあまり支障は無いかと。

心配な人はこちらの用語を覚えておけば、どの動きを撮った写真かわかります。

walk  ゆっくり歩き
amble ほぼ側対歩の歩き
trot 斜対歩の早歩き
pace 側対歩の早歩き
canter 小走り
gallop 全力ダッシュ

これらの動きの種類は本ブログでもざっくりまとめてます。よければご覧ください。

関連記事 動物の歩き方・走り方をアニメーター向けに解説

馬の歩きバリエーションが豊富

馬の写真が多い。183ページ中85ページが馬。
半分近く馬。のこり半分のページで犬、猫、ヤギ、牛、鳥などいろいろな動物が載ってます。

他の資料本と比べると動物の種類は少なめですが
かわりに動きの種類がめっちゃ多いです。

上記の歩きの種類に加え

  • 人が騎乗してる時の動き
  • 馬車を曳いている時
  • 重いものを引っ張る動き

など、バリエーション多彩。
農耕馬や馬車馬など、モブ馬の参考にも良いです。

Animals in Motion (Dover Anatomy for Artists)

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アニメ作画のしくみ2 動物編

動物アニメーションの専門書!中級者以上がおすすめ。

犬、馬、チーターなどの4足動物の動きと 魚やイルカの泳ぎ、鳥やコウモリの飛び方などを解説してます。

解説レベルは中級者向け

この本をどういう人にすすめたいかというと
ある程度アニメーションを作り慣れた人向けです。

アニメーションの基礎知識や人間の動きに関する解説はあまりなく、知ってる前提で話が進みます。
他の教本だと人間の歩き・走りくらいは解説あったりしますが、この本にそういったものはありません。

文章は多くて解説がいっぱい書いてはあるんですが、作り方を書いているというより、コツのTipsがたくさんあるみたいな感じなので、初心者に手取り足取り教えてくれる感じではないです。

いくつか作品を作ってきて、より良い絵作りを目指す人におすすめ。

良い作画を描くコツ

この本は動物らしく動かすコツを理論的に説明してくれます。
動物の骨格と作画枚数を理解して、根拠をもって作画に挑めるようになる本です。

アニメーションって、ただ動物の映像をなんとなーくマネしてるだけでは「正しい動き」にはなっても「良い動き」にはならないんですよね。
ですが、理屈で考えながら作画できるようになると、説得力のある良いアニメーションが作れます。

さらに、レイアウト込みの解説が多く、実際のアニメ作品の絵に近いのもこの本の特徴。
たとえば「上半身のショットで、馬と騎手の頭だけで歩きを表現したい」という場合にも、根拠に基づいて動かせるようになります。

こんな感じで実際の制作現場で役立つノウハウが書かれてます。

日本のアニメに合った解説

リミテッドアニメーション、いわゆる日本的なアニメーションの解説が多いです。
(海外アニメは秒間24枚の絵で動かす所を日本は12枚やら8枚、またはもっと少ない絵で動かしてたりする)

たとえば動物の走りは参考書だと8~12枚くらいの絵で描かれてますが、実際のアニメ作品では4、5枚の絵で動かしてる事が多いです。
この本では、そういう〇枚の絵で動かすには、みたいな考え方が書かれてます。

3Dアニメでもセルルックで作るときは、コマ抜きしてリミテッド風に動かすと、キレのある良いアニメらしくなります。

アビハルはそういう映像を作っていたとき、この本の考え方が参考になりました。

アニメ作画のしくみ2[動物篇]

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アニメーターズ・サバイバルキット

専門学校の教科書にも採用されてる、業界でも有名な本。

動物の専門書ではないです。むしろ人物の動かし方がメインの本です。
ですが、そもそも動物の動き=お芝居の馬みたいに人間が2人入った動きなんです。

リアルな動物の動きを作ろうと思ったら、人間の歩き方を死ぬほど学ぶ事になります。
人間の歩きを学ぶにはこの本が一番いいと思ったので紹介します。

歩行アニメーションの解説が多い

分厚い、デカい、重い。これ系の本にしては文章も多め。その分内容が濃いです。
歩き・走りの解説だけで100ページ近くあります。
動物の歩きは4ページだけあります。

ただ歩くだけじゃなく、キャラクター性を表現する方法も記載されてます。
(女らしく歩くとか、機嫌よく歩くとか)
こういう表現は就職のポートフォリオでも評価高いので、本気で就職目指すなら知っておいた方がいいです。

カートゥーン系の動き解説もありますが、リアルな挙動の解説が中心。

ただ日本的なリミテッド・アニメーションの表現については触れられていないので、そっちを勉強したい人は別の本を見た方がいいです。

入口は初心者、ゴールはプロ

説明自体は初心者向けで分かりやすいです。
動物の割合が少ないので最後に紹介しましたが、
初めてアニメーションを学ぶ初心者にもオススメ。ただし内容はプロ目指す人向け。

キャラクターアニメーションの基礎知識が十分すぎるほど載っています。
「絵の描き方」ではなく「キャラクターを動かす」事の解説なので
手書き・CG問わず、本格的にアニメーションを学びたいガチ勢はどうぞ。

増補 アニメーターズサバイバルキット

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